ことわざ、格言には出典が欲しいナ
ことわざ
【諺】
昔から人々の間で言いならわされた、風刺・教訓・知識・興趣などをもった簡潔な言葉。「ごまめの歯ぎしり」「朱に交われば赤くなる」「出る杭は打たれる」「東男に京女」などの類。
かくげん
【格言】
短い言葉で、人生の真理や処世術などを述べ、教えや戒めとした言葉。「石の上にも三年」「沈黙は金」など。金言。
(シャープ製 電子辞書 Brain 収載の「三省堂 スーパー大辞林 3.0」より)
正月も十日となって日めくりカレンダーも10回めくっているわけだけど、カレンダーの下には毎日ひとつずつ、ことわざとか格言が載っている。うちで使っている日めくりカレンダーは「新日本カレンダー 2018年 日めくり 小型 カレンダー 4号 8824」というやつで、Amazonで918円だった。去年は近所のN文具店で買ったけど、とにかく毎年この手の日めくりカレンダーを食卓横にぶら下げて使っている。
そして、きのう、1月9日のことわざというか格言というかが「甲斐なき星が夜を明かす」という、よく意味の分からないものだった。そこで先の「大辞林」とか高橋書店の「『ことわざ』新辞典」(日向一雅監修、2015)とか見るけど載っていない。
仕方がないので、出典はどこかなとググってみると、どこにも出典が出てこない。遡ってみると、2001年に kotowaza.jitenon.jp/kanji/1377.php (故事・ことわざ辞典オンライン)というウェブページが見つかるけど、ここは読みがあるだけで、意味のページへのリンクが貼られていない。
下って2014年に blog.goo.ne.jp/chiffona/e/e3fabfb99fcbe0369dffd7ab17a8a200 (ほろ酔いハングル - Gooブログ)というのが見つかって、このブログは頻繁に検索で出てくるんだけど、やっぱり出典がわからない。
念のため、Google Trends で調べたら、検索ボリュームとして有意になるのは2011年以降。たぶん、日めくりカレンダーのことわざ格言が毎日新しく出て来るので、ブログネタに使えるじゃん! と需要が出て来はじめたのかなと思われる。日めくりカレンダーでは、毎年おなじことわざ格言を使い回しているようなので、違う年に異なるブログで同じことわざがネタになっていたりするんだけど、「甲斐なき星が夜を明かす」は出典がわからないままネタになっている。というか、ググって意味わかりました〜、で安心しているところが気持ち悪いんだけど。
で、そもそもの意味について述べられているのはどこなんだろうと検索して出てくるのは次のページかな、と。
甲斐なき星が夜を明かす
かいなきほしがよをあかす
意味
強く輝く星は山の陰に隠れてしまうのに、いまにも消えそうな弱々しい光の星が朝まで光り続けるということ。からだの弱い人はいろいろと健康に気を使うので、頑健な人よりもかえって長生きするというたとえ。
(ことわざ辞典)
やっぱり出典がない。気持ち悪い。
「ネットにありました」というのは、それが何らかの権威付けとかデジタル認証とかを持っていない限り信用できないわけだけど、この「甲斐なき星が……」に関しては気持ち悪いばかりだ。
そもそも「強く輝く星は山の陰に隠れてしまうのに、いまにも消えそうな弱々しい光の星が朝まで光り続ける」て、ウソじゃん。地球の自転に従って、明るかろうが暗かろうが、星は沈むし月も沈むし、太陽だって沈む。「弱々しい光の星」だけいつまでもとどまって見えてるんだとしたら、それ、みんなが好きなアレだよ。
「甲斐がない」というのは、投資に対して効果が得られないということで、やってるようで全然出来てないとか、足掻いているのに前に進んでいないとか、残業でヘトヘトなのに給料が上がらないし会社の業績は下がるばかりとか、毎日ブログを更新してるのに今月のアフィが512円だったとか、そういう状況だと思うわけです。
とすると、「甲斐なき星が夜を明かす」は、ネットで述べられているような一病息災的な意味ではなくて、“ダメな奴ほど徹夜自慢をする”というような意味なんじゃないかなぁ、て思うわけです。まあ、ブログネタだからどうでもいいんだけど。