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2004.12.16

書籍貧乏

 用事があって銀座に出た.いつもは週末にしか来ないので,歩行者天国であるところに車が流れていてヘンな気分.待ち合わせまでに時間があったので,数寄屋橋交差点に面した入口から三越に入った.そして驚いた.
 
 銀座の三越なんて年に数回しか来ないし,それも家人と一緒に7階の生活用品売り場にエレベータで直行するのがほとんどだから,こうやって一人で入ってみると,自然と視線が違ってきたりする.そして改めて気づいた.1階から5階まですべて婦人モノなのである.
 
 どこの百貨店も同じなのだろうか.可哀相に,紳士服と紳士雑貨は一緒くたにされて6階の1フロアに押し込められている.エスカレータ横のアルフレッド・ダンヒルの鞄が意地悪く黒革を光らせていた.
 
 とにかく女性は持ち物や身に着けるものが多い.家人も靴を十数足,鞄だって10個は持っている.そして出かけるときに悩んでいたりする.
 
 三越の中を上下しつつ感嘆するとともに安心していた.男でよかった.
 
 男の身だしなみはシンプルなもので,髪を切り,ヒゲを剃り,あとは定番を押さえておけば十分.落合正勝氏の入門書の通りにやっておけば間違いはない.朝,家を出たときの格好がそのまま世界で通用するのである.色とりどりのスーツなんて要らないし,そもそもそれって十分にヘン.靴だって4足あればいい.これこそ文字通り「足りる」である.
 
 往々にして,ヘタに迷う余地があるとロクなことにならないが,男の服装はその典型かもしれない.型を守って迷うなかれ.迷うんだったら仕事上の重大決定事とか人生最大の岐路だとか,そういうところで大いに迷って悩んでもらいたい.このところくだらないことで人生棒に振っているのが多過ぎるようだ.
 
 冬にしては暖かい路上に出ると,夜風が気持ちよかった.冬至を直前に,たそがれてすっかり夜の帳に包まれた銀座――というわけでもなく,ビルの高さから下は照明で白く輝いている銀座であった.
 
 婦人服の多さにクラクラした頭を冷やすため,教文館書店に向かった.三越の道路を挟んで反対側にある本屋である.靴は4足,鞄はひとつでもなんら不自由はないが,本だけはそういうわけにはゆかない.書棚に並んだ幾千幾万の本は娯楽の殿堂だ.買わなくとも眺めているだけで幸せな気分になる.本ばかりはやめられない.
 
 ……そうか.きっと女性のみなさんはこんな気分で婦人服のフロアに向かうんだな.
 

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