« あなたのうしろに100万人 | トップページ | センターベントなのは許す »

2005.01.27

コケの紅葉

西空

 道端のコケが紅葉している.
 
 黄色や赤茶色になって,枯れているようだが,実は紅葉らしい.毎年冬にはこうなる.宮沢賢治の『どんぐりと山猫』だったか何だったかにその様な描写があったような気がするが,自信がない.道の南側の縁,並ぶ家の塀の北側の根元に,盛り上がるように生えている.毎年夏には目の覚めるような深い緑色を見せてくれているのだ.
 
 今年は気温が高いのと,降水量が多いのとで,まだまだ緑色のものも残っている.
 
 近所にはこのようなコケがたくさんある.通勤途中だから難しいが,できればむしり取って持ち帰りたい.だが人目があるし,他所(よそ)の敷地だったりするので自重している.コンクリートの境目や,歩道の敷石の隙間に,静かに,しかし,しっかりと生えている.
 
 夜陰に紛れて歩道の目地をほじくり返している中年男――って,十分危ないよな.

 以前,苔玉を作ったことがある.その時は植生のことを何も考えずに,新宿・東急ハンズで買ってきた苔玉制作キットに,池袋・西武百貨店の屋上で売っていたミニ盆栽のヤマモミジを植えたみた.しかし,実はヤマモミジとコケのそれぞれが必要とする水分量がかなり違っていたらしい.
 
 コケに合わせて水をやっていたら,どんどんヤマモミジが元気を失くしてゆくので,慌てて田舎に里子に出した.それ以降は何とか大丈夫なようである.田舎の母親の指先は緑色なのだ.我が家で元気を失くしたアジアンタムも,母親のもとで療養させたら持ち帰れないほどに繁茂してしまい,そのまま居着いてしまっている.息子はまだまだ未熟です.
 
 そもそも制作キットのコケは,緑色の染料で染められたミズゴケだったようで,段々と色褪せ,里子に出す頃には切干大根のようになっていた.自分としては,いつも通勤経路に見かける見事に緑色のコケのイメージがあったので,ちょっと裏切られたような気分でもあった.
 
 切干大根はよろしくない.
 
 やはり,綺麗に刈り込まれた極微小の芝生のような,もしかしたら静かな月夜には小さな人が寝転がっているような,きちんと背筋の伸びた苔でないと.……ということで,やはり毎日横目で道端のコケを眺めつつ,いつかほじくり返してやろうと企んでいる.
 
 関係ないけど,綺麗な苔を見るたびに,写真で見た韓国・慶州の古墳を思い出す.何だか雰囲気,似てない?
 

« あなたのうしろに100万人 | トップページ | センターベントなのは許す »

ウェブページ

フォト

hide module-header

redirect to tafworks.com

GglAnlytcs