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2005.03.10

南セントレアの成功

翼

 そもそも最初からおかしかった.
 
 あくまでも報道を主とした伝聞だが,公募に対してあがってきた名前でもないし,選考もヘンだったし…….そして挙句の果てには,合併自体が白紙になってしまった,と.合併推進を唱えていた人達にどれほどの影響があるのかわからない.経緯などの詳細は新聞各社のサイトを参照していただきたい.
 
 ひとつ云えることは「南セントレア市」は成功した,ということだ.それはなぜか?
 
 もともとは中部国際空港(セントレア)を「売れる空港」にするためにおこなわれていた――と仮定すると,今回の奇妙な合併騒動は説明がつくのではないかと思う.名古屋近辺に国際空港を作っても,知名度が低ければ利用者は伸びない.航空会社が乗り入れてくれないから空港としての「顧客価値」が出ない.「顧客価値」が出ないと,それを理由に航空会社がやってこない,の悪循環になってしまう.では,どうするか.
 
 こういうときは,とにかく最初に名前を売ってしまうのが一番なのだ.
 
 時あたかも市町村合併が盛んになっている.これだって相当に胡散(うさん)臭く感じられるのだが,まぁ置いておこう.この市町村合併を利用して中部国際空港の名前を売ってみよう――という発想ではないかな.合併するには新市名が必要だ.ならば,空港の名前をつければいいじゃないか,というわけだ.そこで無理やり「南セントレア市」が最後までマスコミに露出するようにしてみたのではないか,と推論してみる.
 
 もしこれが逆で,中部国際空港の認知度を高めるために,「南セントレア市」という奇妙な名前を使っての,成功確率の低い市町村合併を仕組んでいたのだとしたら…….そんなワケないよね.
 
 この仮定と推論が正しいとすれば,結局はその目論見が成功して「南セントレア市→中部国際空港」という意識の誘導ができたわけだ.全国的に知名度が急上昇したと云えるだろう.「南セントレア市」で検索すると約16万件,中部国際空港でAND検索すると約2万件出てくるのがその証拠と云えるかもしれない.これだけの露出度があれば,それなりに名前が売れていると考えてもいい.テレビの全国ニュースネタになる「事件」だったわけだから,知名度アップという点では成功した.
 
 所詮は仮定の上の推論なので,非常にいい加減なところなのだが,こうやって思考実験して遊んでみるとなかなか面白い.愛地球博などは,中部国際空港を実際に利用してもらうための方策であって,ここで好印象を作り出しておけば固定客が増えるのではないか――と.
 
 もしそうだとしたら,一連のコレを考えたマーケターはなかなかのモンである.
 

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