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2007.07.17

“収入源”の条件

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最近はキャッシュポイントについて考えている。といっても、一般的な「キャッシュポイント」(cashpoint)というと、辞書的にはキャッシュディスペンサーとか、現金取引の店だとか、勘定台(レジ)だとか書いてある(ジーニアス英和大辞典)し、ネット的には“収入源”などと書いてあったりするけれども、そういうハナシではなく、もっとミクロで瞬間的なこと。

つまり、人が何に対価を払いたくなるか|払ってしまうのか、ということを概念的に追いかけてゆくとどうなるんだろうか、ということだ。

結論から云うと「同期的経験こそがキャッシュポイントとなり得る」。これは濱野智史氏のエントリに多分に影響を受けているんだけれども、かなり確からしい仮説だと思っている。

どういうことかというと、対する説明として「コピー可能なものはキャッシュポイントではない」ということ。たとえばウェブページは、それだけではキャッシュポイントではない。だから広告のバナーやテキストを貼り付けて収入源化しなければならない。この際、それらの広告という収入源がどのようにしてキャッシュポイント化しているかどうかは問われない。実に便利な方法なんだな。

さて、たとえば、かつてのLPレコードなんていう物理的存在は、その商品に気づき、待ち、入手し、鑑賞し、感動し、他人に薦め……なんて一連の行為・経験が自分自身の実時間を基準として体験されてゆく、つまり「同期的な経験」が存在しているからこそ、それを想起してお金を払って買うわけ。これは本も同様。クルマなんて最たるものかもしれない。

いっぽう、ICT(情報通信技術)の発達と普及が情報のデジタル化を促進しているんだけれども、これによって“体験”からコンテンツが切り離されて流通されるようになった。それも安価に。

すると、個々人のコンテキストとは分離したコンテンツが大量にばらまかれるようになる。いまあなたが読んでいるこのエントリも同様。もしこのブログをキャッシュポイント化しなければならないのだとしたら、たぶんわたしはAmazonのリンクだとかGoogleAdSenseだとかを貼りまくらねばならなくなる。

「ウェブコンテンツは無料が基本」というのは、この文脈においては正しい。ただし、ここに何らかの「同期的な経験」をユーザ自らが体験するのだとしたら、有料化が可能になる。「同期的」というのは「唯一」の裏返しでもある。いま現在、体験しているこの瞬間に同期している自分自身は唯一無二だから。

ゆえに、人はオークションやオンラインゲームに投資する。UGC(User Generated Content)というのも、ネットの向こう側にいる他者が、こちら側にいる自分自身の体験に何らかの介入・干渉をおこなってくることで唯一無二な「同期的体験」を可能にする限りにおいて、投資対象として有効になる。この辺は「偶有性」なんてのと絡んでくるんだろう。うん。「遇有性」は十分に投資対象=キャッシュポイントとして考慮すべき現象なんだろうな。

物理的限定性とか時間的不可逆性とかで希少価値を演出するという古典的なことを、概念的に考えてみるけど、われながら、実にもって生臭い仕事だ。


WIRED VISION / 濱野智史の「情報環境研究ノート」
http://wiredvision.jp/blog/hamano/

アルバムを無料配布したPrinceの戦略(1)
http://wiredvision.jp/news/200707/2007071722.html

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