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2007.10.31

メモ:『私の嫌いな10の言葉』中島義道著 新潮文庫

まずはピンときたところを抜粋。




p45


つまり、かならずしも繁文縟礼(はんぶんじょくれい)が高級な文化とは言えない。儀礼が細かくなればなるほど、人びとは何の目的のための儀礼かを忘れてその儀礼自体にがんじがらめにされ、窮屈なことこのうえない。



p.55


しかし、年末に年賀状をせっせと書く人に限って、中部ヨーロッパに向けても「残暑見舞い」を書く。私はその鈍感さが厭なのです。……その怠惰さが厭なのです。



p.56


その意味を考えてみようともしない。鈍感きわまる形式主義だと思いました。



p.85


自分の関係した組織を深く愛すると、必ず権力を持ちたがり、人事に口を出し、組織の力を身辺の人に及ぼそうとする。私はそれらすべてやめることにした。( 『中年以後』光文社)



p.151


定型的に季節をあるいは期間を決めて何かしたつもりになることって、この国では多いのですね。(下線部は機械太郎)



p.179


ほれぼれするような嘘が出てくる余地もない。



p.179


たえず正確に弁解しつづけること、たとえ偽りの弁解によってもわが身を守ること。これは、念入りに小学校低学年のころから教え込むべきだと思います。



p.197


何ごとも相手を傷つけないように細心の注意を払って解決しようというすばらしい文明国人の智恵が、……凄まじい暴力を引き起こすのです。



p.215


ある集団の「上位」に至ったら、「尊敬されよう」などとつゆ思ってはならない。



p.227


社会的成功者とは傲慢かつ単純な人種が多いので、自分の成功を普遍化したがる。



p.237


理不尽さを見えるようにしても崩壊しないだけの余裕のある社会は健全だということ。おわかりでしょうか?



p.240


物質的に豊かになったが、心は枯渇した」と評するインテリ諸氏よ。ネゴトをほざくのはやめなさい。すべてはあなたの思惑どおりに進んでいるのですから、なんにも心配することはないんです。みんな、あなたが真に望んでいることが何かよく知っているんですから。






マーケティングなんて仕事をやっていると、考え方がドライになる。顧客とは云っても、所詮、その第一義は「価値の源泉」に過ぎない。価値は外部にしかない、みたいなことを云っていたのはドラッカーだったかな?



社会貢献だとか、誰もが幸せになるべきだとか、そういうことはタテマエとしてはいくらでも云ったり書いたりできるけれども、源まで遡れば、自分自身を優位に置くこと、自分を中心とした関係を維持すること、つまり自己保存が最優先課題であることは否めない。その最優先課題を実現するための戦略として、社会貢献だとか他者の幸せというメソッドが成立している。



だから、お客様は神様だとしても、自分自身のための価値の源泉としての優位性に過ぎない。その証拠に、自分とは全然関係ない業界・業種、場合によっては同業他社のお客様は、当面の最優先事項には位置づけられない。最優先なのは、いま現在のお客様なのだ。



ぶっちゃけたハナシ、ロイヤリティの根本原理はそこにあるのだと思う。だから、顧客側もその原理を理解した上で、お客様として威張ってもらいたいものだ。このようなスタイルは、一見してドライに見えるが、実は双方にとって最も効率よく利益をもたらすのだ。






ということで、最優先課題に位置するお客様に対して、最大限の満足を提供したいところであるが、そこに立ちはだかるのは「社内都合」というやつ。



財務的必要条件である顧客に対して、より良いサービスを提供するために、運用や人材開発(=教育)を改善すべきだと思う。そこで、顧客サービス改善のために中島氏云うところの「個人語」を語ると、「実務者がかわいそうだ」とか「そういうことは表立って云わないで、まず根回しすべきだ」のような障害にぶつかるのだ。



往々にしてそのような“忠言”をくださるのは、調整・調停型の“人材”で、社内で高評価を得ている。



が、そもそもバナシとして、そのような“忠言”がより良い顧客サービスをもたらしてくれるのだろうか、つまり、会社に利益をもたらしてくれるのだろうか、という点は大いに疑問だ。



そのような“人材”が悪いというのではない。会社が順調なときには大変貴重だ。しかし、会社があぶないときに至ってなおも社内調整に明け暮れ、お客様の顔を見ようとしないことが問題なのである。危急の際に思考停止したままなのが問題なのだ。





p.244


もし、あなたがこうしたコトバに関して私と似た感受性をおもちでしたら、ご一報ください。少しは救われるように思いますので……。

はい。おかげで溜飲が少しさがったような気がします。





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