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2009.11.24

『サイバービア 電脳郊外が“あなた”を変える』

( ジェイムス・ハーキン著 吉田晋治訳 NHK出版 2009 )
先の大戦( 応仁の乱じゃないよ )で生み出された「フィードバック」が、現在のインターネットでのわれわれの行動にまで脈々と受け継がれている、という内容。唯一の支配者がいるわけではなく、個々の意識の集合体がそれぞれに入力・処理・出力を輪っかのようにつないで、全体でぞわぞわと動いてゆく――まぁ、『攻殻機動隊』の stand alone complex につながってゆく話だ。

決して「インターネット万歳。われわれの未来は明るい」とか「やっぱりこれからの広告はネットだよね」といったテンションの高い話ではなくて、坦々と第二次世界大戦からヒッピー、そして現在へとつながる、人間としてはもしかしたら本能に近いのかもしれない「フィードバック・ループ」という切り口で、この先のネットの透明度を透かして確かめようとしているような内容( って、なんだかわからんね、コレじゃ )。

原書名が「The Dangerous Idea That's Changing How We Live and Who We Are」とあるように、楽観視というよりは「気をつけたがいいぜ」という感じで書かれている。何に気をつけるべきなのかというと、ネットが人の思考や感情を加速することで生み出される様々な“格差”に対してだ。

「フィードバック・ループ」に巻き込まれると、映画『マトリクス』に出てきた人間乾電池のようになっちゃうよ、といったところか( ますますわからんね、コレじゃ )。

気になる人は読むべし。読んで刹那的にマネタイズにいそしむもよし、ちょっと立ち止まって自分の立っている線路がどこに続いているのかを考えてみるのもよし。どちらもアリだ( 新聞社の人間なら必読じゃねぇの?)。

以下に、ピンときたところを抜粋。

p.26
サイバービアが拡大し発展しつづけるのは実に結構だが、一方で、人々同士、あるいは人々とサイバービアとのつながりはしだいに弱くなる。危険なのは、人々が電子的なゆるいつながりのネットワークに組み込まれ、何かヒントを得ようと闇雲にサイバービアに引きずり込まれて、囚人のように電子的な鎖でつながれてしまうことだ。

p.63
それ以上のことをしようと思えば読者に指図をすることになり、まるで高みから人々を操作するようになってしまう。仲間(ピア)との情報共有を通じて人々の意識を拡張するというカタログに記載された文言自体が一つの目的となり、混乱してあらゆる議論が錯綜する外の世界との関わりはもはや必要なくなったのだ。

p.83
当時の神秘主義やヒッピーの影響を受けた多くの理論と同じく、(スチュアート・)ブランドが究極的に求めていたのも、世界のあらゆるものが他のあらゆるものと結びつけられていることを示す方法だった。

p.91
電子的な結びつきによって多くの人々がつながるネットワークが生まれると、内容や目的よりも情報を伝えるメディアそのものを重視する彼らの考えかたがはるかにもっともらしく思えるようになり、人間のありかたにすら影響を及ぼすようになった。新しい電子メディアが人間にとってそれほど重要な手段ならば、身の回りのものを何でもこのネットワークに放り込みたくなるはずだ。

p.152
要するに、人は他人が好きな楽曲を好きになりやすい。

p.203
人々は電子メールや携帯メールやオンライン・ネットワークを通じて情報ループにとどまりつづけたいと願っていて、絶えずその情報ループを開放しながら、大量のフィードバックを素早く送り返すことでループを閉じようと無駄な努力をしているのだ。

p.204
マルチタスクとは単に作業を素早く効率的にこなすことを指すが、常に注意力を分散させるのは、つながりのネットワークで積極的な役割を果たし、何も見逃したくないというもっと卑近な願いからだと彼女は言う。

p.215
人々がゆったりと腰かけてグーグルに言葉を入力するとき、求めているのは客観的に正しい回答ではなく、グーグルを原動力とする地球規模の会話の中で最も頻繁に引用されている回答であることが多い。

p.243
サイバービアの住人が皆で品質を評価する場合、瞬く間に正のフィードバック・ループが生まれやすく、前の人が支持しているという理由だけでも成功の可能性はどんどん高くなる。記事の人気に関するデータがさらにフィードバックされ、報道する記事の選別に影響を及ぼすとしたら、編集室は結局自らの尾を追いかけるだけで、サイバービアの気まぐれで熱しやすい住人に紙面を委ねることになる。

p.207
(ヒズボラは)「IDFの意思決定サイクルに素早く対応するのではなく、たいていこれを無視してイスラエル軍の攻撃をじっと待ち、闇に潜ったり再び姿を現したりしながら、攻撃や待ち伏せのタイミングをうかがっていた」

p.283
ほとんどの人が本当に望んでいるのは麦をもみ殻から選り分けること――少数の本当に価値のある友人たちとは親密に付き合うが、その他とはハイテクを駆使して慎重に付き合う

p.291
電気システム中に無数のフィードバック・ループを設置すればきわめて正常に作動しつづけるが、安定させることばかり夢中になると、それ以上のことをしようとする時間がなくなる。人間らしさとは、無限フィードバック・ループを循環できることではなくて、目的を持って前に進んでいくことだ。

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