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2011.10.18

(感想)『フレーミング』(タイラー・コーエン)

フレーミング 「自分の経済学」で幸福を切りとる
タイラー・コーエン[著]
久保恵美子[訳]
日経BP社 2011

「自閉症」を理解の“フレーム”としているため、文中には頻繁に「自閉症」という言葉が出てくるが、自閉症理解の本ではない。「自閉症」はあくまでもモチーフであり、演繹の支点として位置づけられている。人間が多様性を獲得するための戦術として採用してきた、物事への接し方の昨今の状況について述べている。つまり、ネットの登場と普及が、人間に新しい視点・視野・視線(=フレーム )を与えてくれたということ。

最終章では、日本、フィンランド、宇宙と視点を後退しつつ視野を広げながら論じているのに——「われわれの住むこの地球をはるかに越えて広がっていくだろう」(p.277)——、最後の最後で「このように、星を見上げるときには、さまざまな感情を選ぶことができる。」(p.283)なんて具合にサッと横にどいて逃げてしまっているところは、非常に惜しいと思う。このおかげで、精神論の範囲を離脱できずに危うく疑陽性トンデモ本になりかけているように感じた。

まぁ、途中には怪しい論理展開がいくつかあるんだけど、ま、いいや。

多様性は人間の意志が原因ではなく ( そんなものがあるとすれば )宇宙の進化の本質なので、そこに含まれる人間が存続し続けようとするなら、多様性を獲得する方向に変化していくのは当たり前なのだ。そんなこと云わなくても、ちょっと大きめのサイトのメトリクスやったことがある人とか、クリス・アンダーソンのロングテールを知っている人だったら、直感的に理解していたりするんだよね。

ネットが個人の欲望を加速し、微視的に領域を拡大してくれていることに気づいている人には、云われるまでもないこと。

ということで、この本の主旨には賛同できるのだが当たり前すぎて本に書くほどのことではないし、結論的に掘り下げが浅いように思われる。ここまでして大分(だいぶ)に書くのであれば、もう少し意味を感じさせてくれてもよさそうなのに、と思った。

ん〜、期待しつつ読んだんだけど、まぁ、そうか、やっぱ、そんなもんだよな、て。

ああ、タイトルの「自分の経済学」の部分は、ほとんど意味ないです。自分的には経済学の本ではありませんでした。ただし、経済学が心理学の視点に立つとすれば切線を引けるかもしれない。でも、具体的な施策とかハックとかは期待しないように。自分で考えましょう、と、これもまたありきたりな結論。( そんな特効薬が見つかったらノーベル賞だな )

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