都市機能の仮想化が進む。
都市の上に Dockerの要領で街区を広げる
( By Morio - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16835714 )
「仮想化」については次の説明が簡潔かも。
仮想化とは、サーバーなどのハードウェア内のリソース(CPU、メモリ、ディスク)を、物理的な構成にとらわれずに、論理的に統合・分割できる技術のことです。
仮想化 - 日立システムズのVMwareソリューション
www.vsolution.jp/vmware/virtualization_guide/01/
本音と建前にたとえることも出来ると思うのです。建前では「コレコレの領分はコレコレのために使うんだよ」というのがあるわけですが、「でも、ちょっとソコ余ってんじゃん? だったら少し貸してよ」のような実際問題には「ま、いっか、お互い様だし」(=本音)という具合に。
かつてのハードウェアの時代には、一旦、何かの枠組を作ってしまうと、その枠組を越えたり、枠組を変更したりするのは難しかったわけですが、コンピュータの力でその辺の枠組がやわらかくなってきました。融通が利く、というやつです。UberとかAirbnbなんてのが分かりやすい例かと。
そうすると、いまは商品やサービスというものがやわらかくなってきていますが、それを容れる都市そのものが柔らかくなる=仮想化されているという景色が普通に見られるようになるのも時間の問題かと思うわけです。
基本的な都市のインフラの上に、暫定的に「○○地区」のようなものを設定して、たとえば期間限定でファブラボが集まった小規模の工場区域だったり、同じ地区があるときにはバイオ関連企業グループが集まってみたり、あるときには街区規模でアパレル系の展示スペースになったりといった具合に。
まるで都市の上にDockerを広げて色々な都市環境を実験的に試してみる、そしてそこには企業や組織だけでなく、そこで働く人や、その人達の家族(高齢者・子どもを含む)の居住空間も含めてみると、そこから得られる膨大な知見を将来の政策や行政に活かせるのではないかとも思うわけです。
その時、私たちは既にコンピュータやスマホといった端末装置=計算する箱に相対しているのではなく、既に「都市という計算する箱」の中に暮らしているわけです。部屋、町、都市といった重層的な物理的な箱が、その機能が固定されない仮想化された空間の中に。ただし、そこは「仮設」ではありません。恒久的にその機能を発揮し続けることも出来る、それなりの耐久性も備えていなければなりません。
すると、それらを組み込むための建物や敷地はどのように設計されるべきなんだろうか、などと考えてしまいました。おそらくは、最大公約数的な仕様として「バリアフリー」の視点が重要なのかなと。そこさえ押さえておけば、あとは上モノを取り替えるだけで素早く都市レベルでの実験が可能になるんじゃなかろうか、と思うわけです。「特区」なんかよりもずっと進行速度が早くて小回りが利く仕掛けです。