鳴ったら乗るな、駆け込むな。
きっと私は大丈夫。
一度「死語」となったかに見えた「見っともない」という言葉が、再び復活の兆しを見せているように思うのは気のせいでしょうか。長距離を走る特急でもない通勤電車の中での飲み食いとか、化粧品を取り出してスクラッチで顔を作るとかありますけど、日常的に見かける「ミットモナイ」は、駆け込み乗車だと思うのです。
特に発車の合図が鳴ってから駆け出す人が一番みっともないかな、と。いや、そもそも駆け込み乗車自体、危険なのでやめましょう、なんでそんなに急ぐんだろうか、と。合図が鳴ってから電車に駆け込みセーフすれば何か得した気分になれるとか、この電車に乗らないとクビになるとか、周りが駆けてるから何も考えずに同じことしたとか、理由について色々思っちゃうわけですが、おそらくご本人はそこまで考えていないのかもしれません。脊髄反射的に、「来た、鳴った、走った」と体が勝手に動いているだけかもしれませんね。みっともないです。
何で駆け出しちゃうんだろう。きっと自分だけは大丈夫、転ばない、絶対に転んだりしないんだから、大丈夫。きっと間に合う。絶対にドアが閉まる前に電車には乗れる。平気へいき。きっと私は大丈夫。で、ときどき失敗して鞄や傘やクツのかかとが「ガゴッ」とか挟まっちゃうんですよね。ドアが再開閉されて電車が走りだすと「発車の合図が鳴ってからの駆け込み乗車は大変危険ですからおやめください」なんて車内アナウンスが入ったりするんです。これ、あなたのことですよ?
電車1つ分の待ち時間を得したかもしれませんが、それとは別に心が貧しくなってませんか? とか、声に出したりはしません。私は、そっと心の中で思うだけです。
けれども、これで電車が遅れたりするのは勘弁ねがいたいですね。そこで、発車の合図には小洒落たメロディーとかではなくて、聞いたら腰砕けになるような合図にしたらどうでしょう。たとえば、コントのオチに鳴らす「チャンチャン」のようなやつです。で、探したらありました。チャンチャカチャンのチャン、チャンです。これが鳴っているときに駆け込み乗車したら、相当失笑ものだと思うのですが、どうでしょうか。
【参考】 Shave and a Haircut